ざらつきのある絵肌の中に、優美な線で掻き入れられる手の痕跡。硬質さと柔らかさがカクテルされた味わい深さが金森氏のアートワークの魅力です。彼女は書家としてのバックグラウンドから現代アートの領域へと近年鮮やかに覚醒してきたアーティスト。墨の特質を援用し字を書き伝える技をドメインとして守りつつも、より自由な同時代的感性で「書く」「読む」の行為を再定義し、現代アートへと昇華してみせる洗練された創作で注目度を高めているところです。
特に、漢字の「生」を様々な書体で書き重ねる「生きる」シリーズは、人が様々な経験を積み重ねながら人生を形作っていく過程を表現するだけでなく、生命の連続や連なりを可視化しようとする野心的なコンセプトに支えられます。一般的な筆の運びの平面的な動きだけでなく、上下動(凹凸)というディメンションにも着目。身体の動きが本来持つ妙味を絵肌の美しさへと昇華し、絵と書のフュージョン感覚、無国籍な美をまとった新鮮な存在感が、各所での展示活動を通して新鮮な驚きをもって受け止められています。
本展では、同シリーズの中でも特に「光と影」を主題にした新作を披露いたします。「影を抱く」意味のタイトルは、ありのままを受け入れるという、金森氏がこの「生きる」シリーズを続けていくうえで核心としてきた価値観を一層色濃く押し出すステイトメントにもなっています。「誰しもが抱える影、でもそれがあるからこそ光は輝く、その思いを表現したい」と金森氏は言います。
本展では、黒や濃色系を基調とした新作を中心に、飾りやすい小品も含めた大小約10点を展示・販売いたします。
【開催概要】
タイトル : 金森朱音 抱影
会期 : 2026年6月24日(水)~ 7月12日(日)
会場 : SPEAK FOR WALL(東京都渋谷区猿楽町28-2-2F SPEAK FOR内)
営業時間 : 12:00~19:00 月火定休 ※祝日は営業
【アーティスト情報】
金森 朱音(かなもり・あかね) アーティスト
1991年、岐阜県生まれ。2014年に東京学芸大学教育学部書道専攻を卒業後、書家として活動。大手百貨店などへ題字を提供するなど幅広く活躍している。一方で、’19年からは書の概念を拡張した新しい表現活動にも取り組み始めた。最近の個展に「憶景 -おもかげ-」(’26年、森下・Gallery Dalston)、「痕跡」(同、銀座蔦屋書店)、「-Reframing-」(’25年、表参道・Gallery Concept21)など。その他グループ展にも精力的に参加している。「Independent Tokyo 2025」でのタグボート特別賞など受賞多数。東京都在住。
【メイン画像】
生きる, 2026, Acrylic on canvas, 400×400mm
©Akane Kanamori
【企画・問い合わせ先】
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